第24回 全国果樹技術・経営コンクール(全農会長賞)
全国農業協同組合連合会経営管理委員会会長賞
福島県福島市
[日本ナシ]
川上 文夫 氏・川上 洋子 氏
写真一番左の方 : 川上 文夫 氏
福島市萱場地区のなし産地において、偏っていた品種構成の改善に取り組み、早生から晩生種を組み合わせて栽培し、人工受粉・摘果・収穫等の労力分散を図るとともに、霜害や台風、さらには価格下落時の危険分散に努め、経営の安定化を図っている。品種構成は、「幸水」、「豊水」、「二十世紀」、「あきづき」、「王秋」を組み合わせ、福島市のなし専業農家のモデルとなっている。また、収量が多く、病気に強い品種の割合を増やし、リスクを下げる経営をしている。樹齢に応じた理想的な生育をしているかを見極める「樹相診断」を取り入れ、計画的に肥培管理を行うなど、樹の能力を最大限に生かす効率的な生産システムを築き上げた。
高齢化・労働力不足が進む中で栽培を止める農家のほ場も集まってきたことから、積極的に作業効率を意識した剪定に取り組み、省力化を進めている。砂礫の多い土壌条件を考慮し、JAのなし専用複合肥料を中心とした有機質肥料の施用により、地力向上を図ってきた。また、剪定後の誘引、摘果作業を早期に行うことで充実した果実を育てるとともに、落葉後に行う礼肥による樹体の充実等により、次年度への貯蔵養分を蓄え、花芽を充実させる管理を行っている。さらに、JAの選果データをもとに園地や栽培管理の改善を図り高品質な果実の生産に努めている。
「高品質な果実生産」を目標に掲げ、なし専作でも農業所得を確保できる魅力ある果樹経営を目指している。樹相診断に基づいた秋の元肥の施用と剪定により強い樹体を育てている。環境にやさしい農業の取組として、複合性フェロモン剤を使用した農薬削減の栽培に取り組み「安全なくだもの」の生産を進めている。